アトリエ・マイルストンブログ

2017年1月7日土曜日

日本の伝統:風呂敷の魅力

土曜日・本日も快晴
気温も上がり、大気も春霞状にモヤっていました。

ビルの谷間、丹沢の山に沈みゆく今日の夕陽

「デイリー・ギャラリー(その51)」
「日本の伝統 : 風呂敷の魅力」

当コーナーでの我が国伝統文化の紹介、昨年の2月(梅模様)以来の久々登場です。
先日、筆者 外出先で風呂敷包みを手にした和服姿の女性を久々にお見かけました。
そのご婦人の着物の着こなしもさることながら、手にした風呂敷の包み具合にも関心しました。
きりっと品よく結ばれたその縮緬(ちりめん)風呂敷の存在が、伝統文化の美しさを語りかけてきました。
と言う訳で、今回の特集へと結びつきました。

我が国古来の伝統的な美しい風呂敷(風呂敷包み)の数々、ご鑑賞ください。
着物で培った染めの技術・美学が内容物の脇役として、そこはかとなく花開いています。





特別な機会を除いて、最近 見られなくなって久しい風呂敷ですが、その包み方・作法もまた魅力的です。
以下はその包み方のバリエーションです。
内容物の形状によって千変万化する正方形の風呂敷、正にフレキシブル容器の歴史的な先駆けです。
内容物を包み運ぶ機能に加え、内容物を除いた後は小さく折り畳め、ハンカチにも頭巾にも変化します。
上品でお洒落な存在感と相まって、包まれた内容物を一段と魅力的にしてくれる正に名脇役の風呂敷、
その名称の由来は、室町時代の武家が風呂場で脱衣する際にその足元に敷き、衣服を包んだとの説。
何はともあれ、どんな内容物にも対応できる柔軟性は極めて機能的で、現代でも見直されて良いかも。



 丸い形状のスイカや、酒瓶などのタテ長物も何のその、お洒落で粋です。「光琳梅」意匠も大活躍です。
その洒落たデザイン性は色々なTPOにも対応し、その質感は私たちの目を楽しませ、和ませてくれます。





 昭和の頃のTVなどでお馴染みの象徴的な「頬かむり泥棒さん」の必須アイテムだった唐草模様。
実はめでたい吉祥模様の一つで、発祥の地エジプトをシルクロードを経て渡来、江戸時代より普及。
芽が四方八方に伸びて、子孫繁栄や延命長寿を象徴する縁起物で婚礼具や夜具を包んでいたとの事。
明治時代に大量生産されて庶民的なアイテムとして日常で大活躍、戦後の買い出し風景にも度々登場。
現代ではそのデザインがオシャレに進化し、今もそのバリエーションが誕生・愛用されているとの事です。

「 ちょいと一服メモ 」

ちなみにホラ話を「大風呂敷を広げる」等とも言い、いわゆる大袈裟に盛ることですが、今では死語かも?
また美術業界では店舗(画廊)を構えず、絵画を売り歩く画商さんのことを「風呂敷画商」と呼称します。
筆者、何人か風呂敷画商さんに出会いましたが、商いの帰路の軽やかな風呂敷が嬉しいとの事でした。
現代生活では登場少なくなった風呂敷、美術業界では今も現役の商売道具、贈答等に大活躍中です。
それは包み布としての枠を超え、贈答者の看板・暖簾や名刺、更には要件さえをも表す心の布片です。
たかが風呂敷、されど風呂敷。真四角なひとひらの布片。
純なおもてなしの心も、商い心の思惑をも包み込んで・・・。

当ブログへのご来訪、いつもありがとうございます。
3連休のひととき、お楽しみ頂けたのなら幸いです。

By 講師T