アトリエ・マイルストンブログ

2016年10月14日金曜日

ディラン、祝ノーベル文学賞

金曜日・晴れ
今朝もまた11月上旬並みの冷え込みとなりました。
アトリエ、授業なく お休みでした。

たなびく薄、深まる秋

よって1日置いての早速の、「T講師のアート・ワーク(その4):新作(その3)」をアップしました。

筆者、チョー久々の模写 新作の「国宝・源頼朝像」の2回目です。
前回アップ時より描画が進み、下画像のような状態になりました。


前回アップした衣装部・下地の上に、透明な中間墨色の上塗りを施し、更に顔面等も加筆しました。
製作工程の大体6分目と言ったところです。初の人絹への加色にも大分 慣れて、むしろ快感です。
描画時間が取れ次第、更に加筆を行い、近々の完成を目指します、また適時アップする予定です。

* * *

「ミュージック・ギャラリー(その233):特別篇」
「歌手ボブ・ディラン、ノーベル文学賞、祝受賞」

国内外の大方の予想に反し、20世紀米国音楽を代表するシンガー・ソングライターのボブ・ディランが受賞。
小説等の書物としての文学作品ではなく、ポピュラー音楽・歌唱の詞の部分に初めて陽が当てられました。
当コーナーでも以前紹介した「風に吹かれて」等の反戦フォークを始め、その詞の世界は現代的で多彩です。
ディランの詞はビートルズのジョン・レノンをはじめ、多くの音楽家や社会運動家達に多大な影響を与えました。

「アイ・ウォント・ユー」「時代は変わる」「ミスター・タンブリンマン」「マイ・バック・ページ」等、愛聴曲、数あれど、
今回は数多い発表アルバムの中から、ディラン中期の筆者の愛聴盤の中の1曲を選ばせていただきました。
バックのE・ギターは、プロデュ―スも手掛けたマーク・ノップラーや元R・ストーンズのミック・テイラー等です。
オフィシャル動画、当ブログにも最適で、多数の芸術作品が登場します。その観賞も併せてお楽しみ下さい。

ボブ・ディラン、「ジョーカーマン(道化者)」(1983年)
Bob Dylan, "Jokerman", From his album "Infidels"

動画にサビ部分の詞なく、ネット上よりお借りして下に掲載しました。併せて、お楽しみ下さい。

Jokerman dance to the nightingale tune
Bird fly high by the light of the moon
Oh, oh, oh, Jokerman.

難解な詞ですが、それがディランの持ち味でもあり、「風に吹かれて」同様、結論を断定しないのが特徴です。
また我が国の行間を読む俳句や短歌等とは対極の、言葉を多くちりばめてイメージを膨らませるのも手法です。
政治や宗教に於いてもそのスタンスは変わらず、想像の間口を広げ聞く者に解釈を委ねることが多いようです。
詞には旧約聖書の「レビ記」や「ソドムとゴモラ」、またナイチンゲールやミケランジェロの彫像なども登場します。
この曲名のジョーカーマンも、それが「神」なのか、「権力者」を指すのか、我々・現代文明人なのかは不明です。

以前にも記しましたが、筆者がディランを初めて聞いた時は、その濁(だみ)声が印象的で驚いたものです。
その唯一無二・無比な声は今だ健在で、むしろ昨今は老いて益々 奇声になっているような気がしています。

受賞発表直後に、たまたま催されたディランのコンサートでは受賞に一言も触れず、粛々と行われたとの事。
権力や名誉におもねることのないディランの生きざまそのもののようで、何だか妙に納得してしまいました。
国内では期待はずれの失望感が多いようですが、ポップスの詞が文学として認識されたことは画期的です。
名誉の勲章などではなく、文化の啓蒙・功労としての意味合いで、受賞がめでたいことに間違いありません。

By 講師T