アトリエ・マイルストンブログ

2016年4月4日月曜日

酒井抱一の「桜図屏風」

 月曜日・冷たい雨

「名作美術館(その166):酒井抱一の桜図屏風」

酒井抱一、桜図屏風、六曲一双、紙本著色、江戸時代(1815~20年頃)、バーク・コレクション

当コーナーでも「風雨草花図(夏秋草図、重文)など、度々 取り上げた江戸琳派の絵師・抱一の屏風です。
画面一面に金箔を貼り、下部3分の1強を銀箔でほぼ水平に貼った表具的にはとても豪華な屏風です。

しかし、それにも関わらず、画面から漂う気配は豪華と呼ぶには程遠い静寂が個人的には感じられます。
二本の幹から伸びた枝垂れがかった枝の花々も葉桜となり、満開時のきらびやかさ等は感じられません。
下部の銀は何に見立てているのでしょうか。それとも見立てる具象は存在せず、単に装飾なのでしょうか。
銀箔は板塀のようでもあり、そこへ2本の枝がこちらに向かっているように見えるのは筆者でけでしょうか。
厚く塗られている花びらの薄桃色も淡く、全体の雰囲気からは何故か一抹の寂寥感さえ感じられます。
そこから醸し出される気配は春うららかな時空ではなく、咲いては散る桜の宿命的死生観を見るようです。
武家出身の抱一は俳人でもあり、そこに武士の美学や命の儚さを抒情的に暗示したのかも知れません。
桜が「咲く」だけではなく、「散り往く」ものとして・・・。

* * *

「ミュージック・ギャラリー(その195):春歌」

桜繋がり、春繋がりの今回の当コーナー、「桜」はやはり邦楽です。
私たちの住む町・厚木にゆかりある3人組の10年前のデビュー曲です。

いきものがかり、「SAKURA(2006年)」作詞作曲:水野良樹、(ライブ映像)
(最もお気に入りのライブ動画が削除されましたので、後日再アップしました。11月27日)

「桜歌」数あれど、この歌を桜の締めくくりとします。
当コーナーでは、大作名曲「風が吹いている」に続き、2度目の登場です。
歌声や言葉ひとつで、軽々と世代を超えてしまう彼らのような存在は極めて稀有で、とても貴重です。

彼らのデビュー曲、今の人気に繋がる美しい旋律・歌声が早くも開花していることを あらためて実感。
バックをつとめる2人の「後乗りビート」もまた、「突っ込み」が大多数な国内音楽家の中では貴重です。
このライブの演奏も秀逸で、欲を言えば水野君のE・ギターにもう少し音量があれば個人的にはベスト。
(「上から目線」は承知ですが、アンサンブル的に好演しているだけに もっとしっかり聞きたいので・・・。)
(ワガママついでに、バックのドラム演奏開始時、無数の花びらチラシの映像演出があれば、もう最高。)
何はともあれ、素晴らしいライブ・パフォーマンスには違いありません。

「卒業」や「別れ」、武士や軍人の精神的象徴、慶事の桜茶等々・・・、
「桜」は、いつもどこでも日本人の心に日々に深く染み入っています。
桜たちも満開を過ぎ、咲き誇る花びら達が舞い散る時を迎えました。

さくら ひらひら 舞い降りて 落ちて・・・

By 講師T