アトリエ・マイルストンブログ

2016年3月7日月曜日

若冲の「花卉(かき)」天井画

月曜日・雨

梅の開花で始まった春の訪れ。色とりどりの花たちが登場するのも、もうすぐです。
今日の特集は、江戸の世の京の都に咲いた花々を一足先にお届けします。

「名作美術館(その162):伊藤若冲の天井画、「花卉(かき)図」

江戸時代中期を代表する無類の奇想画家、伊藤若冲が描いた天井画です。
このコーナーでも幾度か取り上げた若冲は、近年再評価の著しい画家です。
でも、この天井画に関しては詳しい情報や作品画像も少なく、世間に広く知られることが待たれます。
天井画は京都・東山の信行寺の格(ごう)天井にはめ込まれいて、167点存在しているとの事です。
画質が良く、しかも本格的に体系化されたサイトが無く、散発的画像ですが、その一部をご覧下さい。

左:花びらの後ろ側が描かれた椿

左:ヒマワリ

左:こでまり

左:ナンテン

左:鉄砲ユリ

信行寺本堂外陣にある天井画の様子
円形の中に構図された様々な花々、直接 支持体の板(杉もしくはケヤキ?)の上に描かれています。
木目の浮かぶ背景が西洋古典絵画の中間色下地の効果を発揮していて、明暗の対比が美しいです。
胡粉を用いた白い部分も結構しっかり残っていて、物質感豊かな形体と色彩が豊穣な雰囲気ですね。
円形周囲の色彩も画像では緑がかって見えますが、出典元によっては群青に見えるものもあります。
最良の絵具を用いていた若冲ならではのまったり・こってりした形象と顔料が生命力に満ちています。
作品保存の観点から一般公開は終了したらしいのですが、機会があれば観賞に訪れたいものです。

* * *

「ミュージック・ギャラリー(その191):心温まり唄ー4、兼 春訪れ唄」

今回の当コーナー、冬ならではの「心温まり唄」に加え、季節変わりの「春訪れ唄」も兼ねてみました。
しかも、上の若冲の天井画の花々と共通するような、春の訪れが感じられる画像も良い雰囲気です。
筆者若かりし頃の、前々回登場のキャット・スティーブンス同様のシンガー・ソングライターによる唄。
元唄は米国のフォーク・グループ、ニュー・クリスティー・ミンストレルズで、淡々とした清涼感が秀逸です。

ボビー・ゴールズボロゥ、「トゥデイ」
Bobby Goldsboro, "Today" (1969)

ボビー・ゴールズボロは60~70年代に数々のヒット曲を飛ばしたシンガーで、油絵画家でもあるとのこと。
この曲は彼の他にも多くのシンガーに歌われ、故ジョン・デンバーの最愛曲の一つとしても知られています。
過去や未来よりも、今この時・今日こそが大切だと歌うこの曲、若かりし頃よりも身に沁みて心に響きます。

By 講師T