2015年7月13日月曜日

無名絵師の「柳に白鷺図」

月曜日・晴れ
全国的に猛暑を記録しましたが、アトリエ周辺は海風(南風)が吹き、昔日の夏のようでした。
アトリエ定休日

「名作美術館(その129):無名絵師の屏風絵」


無名絵師による「柳に白鷺図(筆者による改変呼称)」四曲一双

今回の作品は、海外のオークションに出品・落札された作品の画像です。
当コーナーの「名作」とは、筆者の独断的嗜好による選定なので、ここに紹介します。
ネット上で検索していた際、海外のサイトで見つけた屏風絵で、装飾的な柳の表現が気に入り、アップしました。
川辺・水辺は描かれていないにせよ、鷺と柳のモチーフで、その存在を感じさせる潤いある表現が良いですね。

説明でも詳細は不明とのことですが、19世紀(江戸末期)の屏風との記述があり、画題は鶴となっています。
落款も無く、保存状態も不良(ブログ画面は筆者が修整・加筆済み)で、落札価格も高価ではありませんでした。
落款が無いのは、元々の原作は本来六曲一双の仕立てで、後年に改変された可能性もあるのかもしれません。
画題も「Crane(鶴)」となってはいますが、丹頂やナベヅル等、日本画の伝統的表現の鶴とは異なるようです。
鶴と言うよりも、むしろ白鷺(Heron)のような特徴が見受けられるので、筆者が勝手に画題も変えてみました。
「鶴」や「柳」「屏風」をキーワードにネット上を検索したところ(便利!)、下の二作品に共通項を発見しました。

長谷川等伯派「柳橋水車図屏風(右隻)」

鈴木基一(きいつ)、「柳に白鷺図」

「柳橋~」の作品は、柳の枝振りや葉の表現様式が似通っています。
鈴木帰一の絵の方は、画面の二種のモチーフがそのまま共通です。
こちらの二作は国内にありますが、「柳に白鷺図」の方は、残念にも海外に流出してしまったのです。
平面的・装飾的な柳の葉姿、芸妓の髪のかんざしにも似て、涼やかで軽やかな形象が秀逸ですね。
ところで、
我が国ならではの伝統美、日常ではあまり目にすることもなくなってしまったのは、とても残念です。
国内にある名品も保存を重要視する余り、衆目に気易く晒される機会が少ないような気がします。
「宝の持ち腐れ」になってしまわぬよう、展観の機会を増やしていただければ良いと思う昨今です。

* * *

「ミュージック・ギャラリー(その157)」

今回のこのコーナー、上の「柳に白鷺図」を見る際の、そのBGMとして選びました。
普段はあまり気にしていないのですが、「柳」の木を見る機会が減ったような気がします。
南島生まれの筆者の幼年時代でさえ、川べりの柳の並木下を歩いた記憶があります。
昨今の川伝いの光景を思い浮かべると、その代わりのような「桜」が目に浮かびます。
「幽霊」の立ち姿の原型ではと伝わるその妖艶な形象、最後に見たのはいつだったか?
この曲の蘇州、水郷で名高い古都の街角には、「柳」並木はまだ健在なのでしょうか?

蘇州夜曲(そしゅうやきょく) (西条八十(やそ):作詞、服部良一:作曲)
/ ウェイウェイ・ウー(二胡演奏)、インストルメンタル・ライブ

昭和と言う時代が産み出したゴールデン・コンビの珠玉の詞とメロディー、今だからこそ輝きます。
たおやかな調べが正にセレナーデ(夜想曲)ですね。空間豊かな深い生演奏も鳥肌物です。
柳の繊細な葉の揺らぎや美しい鳥の白い翼が、スローモーションで再現されるかのようです。
両者が共に花街の女性の姿に見えてきたのは、絵画や音楽の成せる技か、はたまた筆者の妄想のせいか?

By 講師T