アトリエ・マイルストンブログ

2016年11月3日木曜日

アニメ(漫画)文化の(火)日

木曜日・久々の終日晴れ
国民の休日「文化の日」

「文化の日」特集
「名作美術館(その197)」兼
「デイリー・ギャラリー(その43)」

「アニメ(漫画)文化の火」

今日の「文化の日」、TVなどの報道では今年の文化勲章・受賞者の顔ぶれを紹介していました。
医学や自然科学など各界の著名人や、以外にも前衛的(?)現代美術家などが受賞していました。
が、正直なところ、多くの方々が、高尚すぎるのか、庶民生活の中に於いては縁は少なさそうです。
そこで当コーナーでは、一般庶民の生活の時空に於いて、明確に分かる文化の影響を特集しました。
しかも、戦後、庶民生活に定着したこの文化は、海を越えて、遥か海外にまでその影響を広げました。

それが我が国が誇る「アニメ」や「漫画」で、そのルーツは意外にも江戸にまで遡ることが出来そうです。
その絵画の発想・構図は、その当時より斬新で奇抜で壮大でドラマチックで、奇想天外なものでした。

言わずとしれた琳派の祖・俵谷宗達、「風神雷神図・屏風」(17世紀)
( 前日 記しましたが、筆者の新作模写の第2弾です。)

歌川国芳、 「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」


葛飾北斎、「富嶽三十六景」の内の二景、浮世絵・版画


東洲斎写楽、「役者絵」、浮世絵・版画

個別の詳細は省きますが、御覧の通り、現代のアニメに通じる着想やビジュアルです。
しかも北斎や写楽は当時から庶民に人気があり、版画と言う複製文化を生み出しました。
今で言うマス・コミュニケーション(大衆伝達)、マス・プロダクション(大量生産)の走りです。

* * *

「アトム誕生」

それが四百年の時を経て、戦後・初の国民的アニメとなって結実、一気に火が点いたのです。




わが国・初の本格的アニメ、ご存じ手塚治虫の名作「鉄腕アトム」。

筆者も幼少時代、夢中になってTVに釘づけになりました。
「巨人・大鵬・卵焼き」が子供たちの人気の三種の神器の時代、アニメは「鉄腕アトム」と「鉄人28号」でした。
マーブル・チョコのオマケのアトム一家や登場人物のシール、勉強部屋中にそれこそベタベタ貼っていました。
「鉄腕アトム」はやがて輸出され、世界一の大国アメリカでは「アストロ・ボーイ」と改名、米国をも席巻しました。

* * *

「百花繚乱、アニメ・ルネサンス」

一度着火した小さな火は大きな火となって、それはやがて世界中に燃え広がりました。
先人たちの傑作・努力が結実、新たな花となって咲き誇り、世界中にそのマニアたちを生み出しました。
(海外旅行・渡航先のTVチャンネルをひねると、我が国発のアニメが各国で多数放映されていました。)



世界中の沢山の若者たちが我が国のアニメ作品で幼少期を築き、ファンとなり増殖中です。
世はSNSの時代、放映の終了された旧作でも視聴可能で、多くの国々で鑑賞されています。


足早に我が国アニメの誕生の背景としての伝統や継承を振り返ってみました。
「文化」とは、アカデミックな世界や権力・権威筋が産み出すのではありません。
また「文化」なるものを判定し、表彰し、勲章を授けるものではないと思います。

「文化」は私たちの日常生活に在り、魅力的なる存在ゆえに欲され、継承・発展するものと思います。
世界中の人々の記憶や心の中にそれらは生き続け、新しいファンやフォロワーを生み続けています。
我が国は「自動車」などのハードだけではなく、「アニメ(漫画)」と言うソフトをも日々 輸出しています。
それらが人々にとって魅力的な限り、未来永劫に渡ってファンやニーズは生まれ続けていくでしょう。
我が国の日常が魅力的な限り、我が国の「アニメ」や「漫画」の未来もまた明るいのものとなるでしょう。

そこに進行形の活きた「文化」が生まれ(続け)ていくのです。

* * *

「ミュージック・ギャラリー(その237)」

こちらもまた日常に根ざした文化の一つ、TVの主題歌です。
我が国アニメの金字塔、上述の「鉄腕アトム」の懐かしいオリジナル・オープニング曲です。
原作者・手塚作品はのちに稀代の名曲「ジャングル大帝(冨田勲・作曲)も産み出しました。
イントロの和音や子供たちのコーラスを聞くと、瞬時に昔日の日々にワープしてしまいます。
イントロはビブラフォン、ベースはウッド・ベースで、電気楽器類が一切使われていません。

「鉄腕アトム、オープニング主題歌」

昭和のおおらかな柔和さが何とも言えない魅力に満ちていて、モノクロの中間調子も美しいです。
科学は当時より発達しましたが、何か大事な物を過去の狭間に置き忘れて来たかも知れません。
それが「健気さ」や「素朴さ」なのか、はたまた「純粋さ」や「一途さ」や「ひたむきさ」なのか・・・。

一つ感じることは、わが国のアニメ作品が世界中の多くの支持を得ているのは、今もそれらがあるからかも・・・。

By 講師T