アトリエ・マイルストンブログ

2016年3月28日月曜日

桃山文化に咲いた絢爛桜図

月曜日・曇り

「名作美術館(その165):絢爛豪華な桜図」

桜(ソメイヨシノ)開花宣言後の低温で足踏み状態だった桜たち、やっと花を開き始めました。
そんな中、今回は一足早く咲いた満開の桜花を紹介します。
一足早くとは言っても、時は桃山文化に花開いた500年前にも遡る京の都に咲いた桜花です。



長谷川久蔵、「(国宝)桜図」、紙本金地著色・4面、智積(ちしゃく)院・障壁画、文禄元年(1592年頃)

豪華な障壁画の作者は、以前当コーナーで紹介した国宝「楓図」の長谷川等伯の長男・長谷川久蔵です。
依頼者は一介の農民から天下人にまで成り上がった豊臣秀吉で、等伯と共通する出自も興味深いです。
久蔵は長谷川一門の次代の棟梁と目されていたが、若干26歳にして急死。この絵の完成後2年目の事。
地方・能登の出で、京で一代で奇跡的に成り上がった等伯をはじめ一門の明日を担う中心的存在でした。
当時、絵師界の頂点に君臨していた天下の大派閥・狩野派による陰謀・毒殺ではないかとの推説もあり。
この絢爛豪華な桜図、元はもっと大きな絵だったとのこと、火災時の避難・救出時に小さくしたとの事です。
関係者の英断に感謝しつつも、失われてしまった上部等があれば更に絢爛豪華だったに違いありません。

(照明など撮影条件により、背景金地と桜の白色との対比が異なってしまうので、同作・二種をアップ。)

* * *

「ミュージック・ギャラリー(その194):春歌」

何となくパッとしない天候続きですが、そんな天気を吹き飛ばして過去の美しい桜に想いを馳せましょう。
これほど桜に想いを寄せる文化は我が国特有のもので、時と共に桜想い歌も変わり、ラップ判まで出現。
不思議なグループ名を持つ4人組の感性豊かなフレーズ遊び・言葉遊びが快感です。

さくら(歌詞付き)、ケツメイシ(2005年)

日常では用いない不思議なグループ名、古代中国から使われている漢方薬の「決明子」が語源との事。
彼らのPV「花鳥風月(2002年)」が、以前筆者のお気に入りだったのですが、残念ながら今は見られず。
昔日にDVD録画済みですが、何処に録画したのやら探すのに苦労しそうですが、また見たくなりました。

「卒業」など、別れと強く結びつく「桜」、「春訪れの喜び」と別離の悲しみが交錯する季節。
南国育ちの筆者幼少の記憶に桜は無く、上京後に始めて見た桜の開花は衝撃的でした。
友人に誘われて訪ねた上野公園の桜並木、その下には傷痍軍人の包帯姿もありました。
古来より我が国の文化やメンタリティーを深く形成する「桜愛」、未来永劫 続くことでしょう。
 ヒュルリィ~ラ・・・

By 講師T