アトリエ・マイルストンブログ

2015年12月8日火曜日

ジョン・バイ・アンディー

12月7日(月)・8日(火)合併編(天候:両日共に晴れ)
月曜日・アトリエ定休日

12月8日は20世紀の偉大なる音楽家、ジョン・レノンの命日で、それにちなんだ特集をお届けします。
「名作美術館(その149):ジョン・バイ・アンディー」
以前の当コーナーでの「モンロー・バイ・アベドン」のような苗字での題目も考えましたが、今回は名前の方で。


"John Lennon", By Andy Warhol, Silk-screen prints

上2点のシルク版画の作者もまた20世紀アメリカ・ポップ・アート界の旗手アンディー・ウォーホルの作品の一つです。
共に20世紀末に開花したマスメディア・アートの代表として各方面に多大な影響を与えたことは万人の知るところです。
ポップ・アーティストならではの軽妙な切り口で、ポラロイド(インスタント・カメラ)で撮られた音楽家を版画にしています。

作品に伝統的な肖像画としての人格表現は存在せず、その時代のイコン(象徴)として、グラフィック的に扱っています。
絵ハガキに良し、ポスターに良し、Tシャツのプリントに良し。正に複製を主目的とする複製集合体の逆説的作品です。
20世紀、巨大な資本や情報産業が闊歩した超大国ならではの自由と革新と虚無と軽薄さとが混合されたイコンです。

* * *

「ミュージック・ギャラリー(その176):ジョン・レノン追悼特集」

ご存じ、ビートルズの一員として前世期・世界を風靡し、また「愛と平和」を訴えた反戦活動家としての短い半生。
オノ・ヨーコと言う伴侶を得、既成概念を打破しつつ、また俳句に触発されたシンプルな歌詞をも産み出した男。
自己の弱さをも隠さず曝け出せた繊細かつ強い意志を持つ一人の男が産み出したセンチメンタルな名曲です。
上のアンディーとは、ある意味 対極を成すような生き方を始めた男・ジョンの到達した純真無垢なる世界です。

ジョン・レノン、「イマジン~ラブ(メドレー)」
John Lennon, "Imagine ~ Love (Medley) " (1971,70)

「イマジン」の詞はオノ・ヨーコから触発され、また「ラブ」は松尾芭蕉の句集から触発されて産み出された作品です。
贅肉を可能な限り削ぎ落としたシンプルな詞は、東洋の禅思想や当時のミニマル・アート等にも共通する世界です。
詞は一見(一聴)感傷的で甘口にすら感じますが、実際 実践・実現するには困難を極める超ハード・ハードルです。

平和を夢見、活動したジョン・レノン没後35年、世界は残念にも彼の描いた理想とは全く逆の方向に向かっています。
が、その精神はアイルランドのU2やノーベル平和賞・最年少受賞者のマララ譲などにも確実に引き継がれています。
世界を覆いつつある暗黒の中で、その光明が大きな明かりとなって人々の心中に広がることを祈らざるを得ません。
"Love & Peace, But Be Strong "

By 講師T