アトリエ・マイルストンブログ

2015年11月2日月曜日

徳岡神泉の薄(すすき)二題

月曜日・強風雨
アトリエ定休日

「名作美術館(その143):秋の絵」


徳岡神泉、「薄」、京都近代美術館

徳岡神泉、「薄」、東京近代美術館

徳岡神泉(1896~1972)は京都生まれの日本画家で、独自の幽玄的な写実画を完成させました。
その画風はシンプルな構成ながら、味わい深い下地と非凡な色彩とで独自の抒情を産み出しています。
今回の「薄」2作も写実的と言うよりは、むしろ「黄泉の国」への橋渡し的な存在と雰囲気が感じられます。
風にたなびいてはいない薄の穂先が、「草木も眠る丑三つ時」を連想してしまうのは筆者だけでしょうか。

「秋」の植物がモチーフの絵画にしては、湿気を帯びた空気の堆積を感じる不思議な薄光の絵画です。

* * *

「ミュージック・ギャラリー(その171):秋深まり歌」

当コーナー、今回から「秋進み歌」から「秋深まり歌」となりました。
四季知らずだった筆者が、小学校の音楽の時間に初めて出会った「秋」の歌です。
youtube上よりお借りした画像と曲、演奏者・不記載にて不明ですが、バックのオーケストラが秀逸です。

「紅葉(もみじ)」、童謡・唱歌
作詞;高野辰之、作曲:岡野貞一、1911(明治44)年

短い曲ながら、ハープをフューチャーしたオーケストラ・アレンジが品格があって、とても良いですね。
ハープの流れるようなアルペジオと弦楽器隊(チェロ?)のピッチカートが、紅葉の散る様を彷彿とさせます。

アホ小学生の一員だった筆者、この歌と出会ったその当時、この歌の詞がさっぱり理解出来ませんでした。

♪秋の夕陽に(ここまでは理解できました。でも、たったここまでです。)
テルヤマ・モミジ? 誰、それ? 有名な女の人の名前?
コーイモウスーイーモーカーズウアールーナーカーニー? 何、それ?
マツヲイロドール・カエーデーヤーツーターワー?  ええっ、何のこと?
ヤーマノフモートーノースーソオモーヨーオー? もう、さっぱり解らん!

音楽の授業で、先生の歌と足踏みオルガン伴奏に合わせて、みんなで確かにこの曲歌いました。
楓もモミジも蔦も、ましてやその紅葉も見たこともない南島の子どもたちに、先生はどう説明したのでしょうか?
この美しい歌、歌詞の言葉・内容に漢字やその意味が、的確にハマッていったのは随分経ってからのことです。
長い日本列島。しかも日の丸の旗上げるのもはばかれた常夏小島では、「秋」は遠い国の抽象的存在でした。
四季のとりわけ「秋」、夏(しか知らなかった?)が大好きだった筆者をその根底から改心させた季節の到来です。
「その秋・チュラ季節、今ここに深まりぬ。」

By 講師T