アトリエ・マイルストンブログ

2015年10月5日月曜日

クリムトの金泥油絵ー2

月曜日・曇り・11月上旬並みの気温
今朝は、今秋一番の冷え込みとなりました。

「名作美術館(その139):クリムトの金泥油絵(その2)」

当コーナー、前回に続きクリムト作品を紹介します。

ユディット-1(Judith)、82x42cm、1901年

パラス・アテナ(Pallas Athene)、75x75cm、1898年

今回はギリシア美術の影響が色濃い2作品です。
オリジナルな額縁にも幾何学的な装飾模様と共に、上辺には画題がレリーフ状に記されています。
装飾家の父の影響や、オリエントや東洋・日本の工芸に触発されていた画家の面目躍如な作品です。

上は、旧約聖書外典に登場すると言う美しいユダヤの女性で、手にするのはアッシリアの将軍の首。
下は、ギリシア神話で、知恵と芸術、戦いを司る女神アテナ。右手に持つのは、勝利の女神ニケ像。

両者ともに共通する仰角での顔、画面中心を外した構図、金色を強調した衣装の装飾等。
その金色をより強調するために、周囲や背景に黒、もしくは暗褐色の色彩を配しています。
見る者にある種の不安や違和感、恐怖感すら与える象徴主義画家の異端児的な画風です。
既成の慣習・思想の枠を超えた(むしろ反発した)ボヘミアン画家クリムトならではの名作と言えるでしょう。

* * *

「ミュージック・ギャラリー(その167):秋進み歌」

今回もまた前回同様、英国プログレッシブ・ロックの先駆者キング・クリムゾンの曲を選びました。
耽美的な雰囲気と「死」を副題とした今回のクリムトの両作品にも合っているような気がします。

キング・クリムゾン、「エピタフ(墓碑銘)」
King Crimson " Epitaph "(1969)

ビートルズの「アビイロード」、ピンク・フロイドの「原子心母」等と共に、20世紀の金字塔的なアルバムの代表的楽曲です。
今でこそ電子音楽・楽器が主流をなし、ジャンルに捉われないあらゆる音楽が氾濫していますが、彼らはその開拓者です。

「井の中の蛙」状態だったアメリカ音楽が主流の南の小島育ちの筆者に、多大な衝撃を与えてくれました。
「これがロック!?」彼らのデビュー・アルバムを聞き終えての、筆者の最初の感慨でした。
Vo.&Bass担当のグレッグ・レイクのクールな歌声は、筆者の脳天と皮膚を鳥肌立たせました。
英国でも主流だった米国音楽の影響を微塵も感じさせない壮大で神秘的な音に欧州の深さを感じ取りました。

今聞いても色褪ないそのミステリアス・リリカルなサウンドに、しばしの時空トリップを楽しみたいと思います。
寒々とした神秘的空間、これからの季節に適しているのかも知れません。

By 講師T