アトリエ・マイルストンブログ

2015年9月21日月曜日

クリムトの淡白・風景画ー3

9月14日・月曜日・晴れ・涼風
このブログは、9/21にアップしました。

「名作美術館(その136):クリムトの淡白・風景画ー3」

19世紀末・象徴主義を代表する画家クリムトの風景画、当コーナー3度目の登場です。


Poppy Field (1907)

 Garden Meadow in flower (1908)

Pear Tree (1903) By Gustav Klimt

今回の作品3点もまた前2回の作品同様、やはり正方形の変形キャンバスが使用されています。
ワイド感の出ない画角に加え、画家は更に視界を狭めて風景のごく一部だけを切り取っています。
空はその片鱗のみで、「牧草地の花」や「梨の木」など、雲の合間から僅かに青空が覗くだけです。

画家の代表作であるエロティックでリアルな画風とはうって変わり、色調分割の筆触が画面を覆っています。
その上、西洋絵画伝統の遠近法は捨て去られ、物体の前後や立体感より、無数の色班が主題のようです。
21世紀の今日に於いても追随を許さない洗練された軽快で洒落たリズミカルな構図が素晴らしいですね。


興味深い写真をネット上で発見しました。アッターゼー湖畔で望遠鏡を覗く在りし日の画家の姿です。
前作・前々作と、前景に湖がありましたが、ご覧のように画家は望遠鏡で対岸を見ていたのですね。
今回の3作も望遠レンズ特有の物体遠近の圧縮効果が感じられ、それが作画に使用されたのです。

エロティシズムを追求した画家ですが、こと風景画に関しては女性的とも言える静謐さが魅力的です。
繊細な花々や葉や果実が柔らかな光の中で静かに揺らいでいるような佳日を想わせる美しい絵です。
この画家の持つ二面性が両者を更に引き立て、100年後の私達を美の世界へと誘ってくれるのです。

* * *

「ミュージック・ギャラリー(その164):秋進み歌」

上の作品鑑賞時のBGMとして選んでみました。
アメリカはニューヨーク生まれのピアニストの軽快で丸い温かみのある音色が快感です。

エミール・パンドルフィ 「トゥー・ア・ワイルド・ローズ」
Emile Pandolfi , "To a Wild Rose " (2005)

今日(9/21)は昨日同様の涼風が吹き、先週までの天候不順を拭ってくれて秋らしくなりました。
周囲の風景はもとより、コーヒーや音楽も香り立つ良い季節の到来です。
夏の疲れを癒しつつ、ブログの遅れを取り戻すにも絶好の機会ですが、
このシルバー・ウィーク、アトリエやクラブのメンテには絶好の機会です。
どちらもやりたし、さりとて、どちらも逃避か・・・。
自宅や庭のメンテも・・・。ああ~。

By 講師T