アトリエ・マイルストンブログ

2015年7月6日月曜日

伊藤若冲の紫陽花双鶏図

月曜日・雨
アトリエ定休日

「名作美術館(その128)」

鬱陶しい雨に日が続いています。
この季節ならではの花、紫陽花(あじさい)にスポットを当てて当コーナーの特集を企ててみました。
そんな経緯の中、伊藤若冲(じゃくちゅう)の当作品2作に行き当たり、今回の特集となりました。
でも、当のアジサイだけでなく細部まで描き込まれた鶏や周囲の植物にも惹きつけられてしまいます。

伊藤若冲、 紫陽花双鶏図 (あじさい そうけいず) 宝暦9年秋(1759年)。
米国カリフォルニア州、エツコ&ジョー・プライス・コレクション所蔵の同名作品とは同工異曲

伊藤若冲、 紫陽花双鶏図 (あじさい そうけいず) 
米国カリフォルニア州、エツコ&ジョー・プライス・コレクション (Etsuko and Joe Price Collection) 所蔵

伊藤若冲は奇想の画家とも称されているように、わが国に於いては異端の画家で、明治以降、軽視される存在でした。
「紫陽花双鶏図」は画家の代表作動植綵絵(全30幅)」の中の1点です。

動植綵絵』(どうしょく さいえ)(以下はウィキペディアからの抜粋)
江戸時代中期にあたる宝暦7年頃(1757年)から明和3年(1766年)頃にかけての時期に制作された30幅からなる日本画であり、植物を描いた絹本彩色画。三の丸尚蔵館蔵。
画家は、昭和45年(1970年)に辻惟雄の『奇想の系譜』が出版されて以来、注目を浴びるようになった。
1990年代後半以降、その超絶した技巧や奇抜な構成などが再評価され、特に、アメリカ人収集家ジョー・プライスのコレクションにより飛躍的にその知名度と人気を高めている。
(以上、ウィキペディアよりの抜粋)

画家は当時のどの絵師派閥にも属さず、ひたすら大量の模写に励み、また大量の写生も行いました。
それが画家独自の目や技法を身に付けることとなり、時代や国境をも越えて今日の評価に繋がりました。
「故きを温ねて新しきを知る」
約250年前に画家が行ったことが21世紀の我々にも当てはまり、画家は今も光り続けているのでしょう。
* * *

「ミュージック・ギャラリー(その156)」
「デイリー・ギャラリー(その26)」
{森羅万象ギャラリー(その16)」
合体判

梅雨前線が停滞し、爽やかな晴れ間が望めない日々が続いています。
だからこそ「雨の季節」の情緒を、ポジティブに楽しみましょう。
美しい調べに乗せると、小さな水滴さえ宝石に見えてきます。

「レイン」/(久石 譲)
The Rain / Joe Hisaishi 

万象の微細な一部にすら、独自の「美」を見いだした若冲の世界が更に魅力的に見えてきます。
「水の星」の「水の国」に生まれ落ちたことに感謝しながら、「水の季節」を堪能したいものです。
冬の間、固く乾いていた沖縄三線も、良く鳴り響いて快感です。
但し、アコギの方はこもった鈍い音になってしまいましたが・・・。

By 講師T