アトリエ・マイルストンブログ

2015年6月8日月曜日

梅雨入り、ボナールの「窓」

月曜日・曇り のち 雨
関東地方、いよいよの梅雨入り。

「名作美術館(その127):ボナールの「窓」

Pierre Bonnard " The Window" (1925)

前回、前々回に続き、ボナール作品の登場です。
制作年代からすると、長年暮らしたノルマンディーのベルノンではなく、新居となった南仏のル・カネかも知れません。
アンティミスト(親密派、室内画家)と呼ばれる画家ならではの温かな視点と厚みある補色たちが心地良い作品です。
但し、当作品は室内外半々の構図、室内画なのか、または風景画と呼ぶべきか、ジャンル分けに迷ってしまいます。
野暮な分類はともかく、筆者にはバルコニーも含めた室内も、見下ろす家並みも、遠景の山や空もとても魅力的です。
窓を基点の、室内の家具調度や住人の暮らし、又は外に広がる街並みや丘の辻々に筆者の想像が尽きません。
とりわけ、空一面を覆う低く垂れ込めた分厚い瑠璃色の雲波が筆者の想像力を痛く刺激、増殖して止みません。

アンティミスト・ボナール。美しい緑の丘陵と光に抱かれた悠々自適な画家の営みが産み出した今回の名作です。

* * *

「ミュージック・ギャラリー(その155)」

今回の当コーナーは今日の梅雨入りにちなんで選びました。
春の爽やかな薫風も過ぎ去り、南の太平洋がもたらした豊かな湿り気が列島を覆い始めました。
大気が湿潤し、部屋の空気も重く澱をなす頃に聞きたくなる心地良い気だるさが魅力的な1曲です。

ザ、ウォーター・イズ・ワイド / カーラ・ボノフ (1979年)
The Water Is Wide ( Irish Traditional ) / Karla Bonoff 

筆者の大好きなアイリッシュ・ソング。円熟シンガーのエアー感ある歌声と、哀愁あるバック・アレンジが快感です。

アコースチック・ギターもその響きを鈍くさせる季節ですが、代わりに沖縄三線(さんしん)が蘇る季節の到来です。
レイジーな鈍い響きにお線香の紫煙が良く似合う、そんな雨の季節の始まりです。

By 講師T