アトリエ・マイルストンブログ

2015年1月19日月曜日

巨匠の若き日の自画像ー3

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「名作美術館(その106) : 巨匠の若き日の自画像(その3)」

アルブレヒト・デューラー、「1500年の自画像」(1500年)
油彩・板絵、67 x 49cm、アルテ・ピナコテーク(ミュンヘン)

当コーナー前回に続き、デューラーの自画像(その2)の4作目、満を持しての登場です。
ドイツ美術最大の画家の28歳の自画像で、西洋美術史上・自画像の最高傑作とも目される名作です。
鏡の発達が背景にあったとは言え、画家自身がその肖像の主体になることを初めて試みた画家です。
しかも従来の肖像画とは異なり、美化することも臆することなく真正面から切り込んだ革新的な作品です。
頭髪の正三角形はキリストの姿に見立てているとの事ですが、画家自身を強く見据えている気がします。
人間の持ち得る視覚能力や、自らの持てる再現技術の極限に迫ろうと言う気迫・気概をこそ強く感じます。
(画面内クリックすると大きな画像が得られます。画家の魂が垣間見える深い絵画空間、ご鑑賞ください。)

500年も前のデューラー渾身の自画像、21世紀の今日に於いても傑作のまま、私達を見つめています。

「背景の記文について」

左側のサインは、イニシャルのADを図案化したもので、モノグラムを利用した最初の画家と言われています。
Aのデザインが、何だか日本の鳥居のようですね。
また同列右側の銘文の意味は、
”Albrtus Durerus Noricus/ipsum me proprijis sic effin/gebam coloribus aetatis/ann0 XXVlll"
「ニュルンベルグのアルブレヒト・デューラー、我、自らを28歳の年に不朽の色彩を以て描けり。」
との事が記されているそうです。
名画に名文あり、感動的ですね。

* * *

「ミュージック・ギャラリー(その132)」

当コーナー、上のデューラーとでは、ドイツ繋がりです。
ステレオ・タイプの典型で何ですが、筆者、この曲しか脳裏に浮かび上がりませんでした。
ドイツを代表する女優・歌手で、反ナチスの気骨溢れる行動で、祖国から裏切り者呼ばわりされた偉大な人物です。
それなりの人生を歩み重ねられた方には、懐かしさや哀愁を誘う甘美で切ない歌声です。
耽美的・退廃的な風貌やクールでレイジーな歌声、ご堪能ください。

マレーネ・ディートリッヒ 「リリー・マルレーン」(ドイツ語ライブ)
Marlene Dietrich (1901~1992),"Lili Marlene"(Deutsch Live)

不屈のゲルマン精神の持ち主と言う意味では、画家デューラーと共通するような気がしますね。
デューラーの自画像に記された記文同様、
第二次大戦中、欧州戦線の敵味方・両軍兵士たちを厭戦ムードにさせた魅惑の歌声、今も色褪せることはありません。

By 講師T