アトリエ・マイルストンブログ

2014年12月8日月曜日

フェルメールの文読む女二作

月曜日・快晴
アトリエ定休日

斜面全体が美しい冬枯れ色で覆われたアトリエ背後の丘頂きの今日の様子

「名作美術館(その99)」
静謐の画家フェルメール その6:「文読む女、二題」

 「窓辺で手紙を読む女」 (1657年頃)                 「青衣の女」 (1664年頃)
83 x 64.5cm アルテ・マイスター絵画館(ドイツ)    46.6 X 39.1cm アムステルダム国立美術館(オランダ)

画家の得意とする室内・窓辺の女性の立ち姿です。
手にした手紙に視線を落とす女性の横顔は美しく、筆者の推測だと同一人物のような気がします。
「窓辺~」のやや強めの光に比し、「青衣~」の方は室内全体に拡散された柔らかな光が見事です。

「窓辺~」は筆者若かりし頃に初めて見た画家の作品で、旧東ドイツのドレスデン美術館所蔵でした。
国立西洋美術館開催の大きな展覧会で、この1点のみが立派なガラス・ケースに収められていました。
原画から2m以上も離れたガラス・ケース越しに見た当作品は、美しい色と光の粒子を放っていました。
「青衣~」の方は妊婦さん説もあり、2脚の椅子や壁面の地図など、両作品共に寓意・寓話も多彩です。
日常の光景を描いた風俗画ながら、「静謐の画家フェルメール」ならではの格調高い全人類的宝です。

* * *

「ミュージック・ギャラリー(123)」

今回の当コーナー、フェルメールにちなんだ1曲と言うことで、画家とほぼ同時代の音楽を取り上げました。
画家の作品にも幾度か登場するヴィオラ・ダ・ガンバと言う古楽器の演奏で、チェロの前身の6弦楽器です。

「アダージョ、ソナタ第15番から」/ ヨハネス・シェンク作曲(1688年)、ヴィオラ・ダ・ガンバ&オルガンによる演奏
Adagio-from sonata XV / Johannesu Schenk / Viol & Organ

今回取り上げた「窓辺で手紙を読む女」2作のBGMにも、多少は似合いっているような気もします。
旅行で訪れた画家の終の棲家である朝霧に包まれたデルフトの町の静寂さも彷彿とさせてくれます。

By 講師T